経理・総務経験者なら携わるチャンスも!内部監査という仕事

内部監査ってどんな仕事?

内部監査という言葉は聞いたことがあっても、何をしているのかまで知っている人は少ないのではないでしょうか。
内部監査の仕事はあまり目立ちませんが、企業ガバナンス強化の流れの中で重要性がどんどん高まっています。
実は、経理や総務などの管理部門で経験を積んだ人なら、携わるチャンスがある仕事でもあります。
そんな内部監査の仕事について、これから説明していきますね。

 

内部監査とは

内部監査とは、企業内の各部門から独立した立場で、業務の効率化や不正の未然防止のために業務や会計のチェック(監査)を行う仕事です。

近年、企業の不正や不祥事が続く中でガバナンス強化が求められる中、内部監査の重要性が広く認識されるようになりました。2006年5月の新会社法施行によって、会社法上の「大会社」に対し内部統制システムの運用状況開示が義務化されたことから、義務化の対象とならない企業も内部監査に大きな関心を寄せるようになっています。

 

内部監査の仕事

ますます重要性が高まっている内部監査ですが、実際にはどのような仕事なのでしょうか。やりがいや大変さ、キャリアパスについて説明していきます。

具体的な仕事内容

内部監査は、概ね次のようなステップを踏んで行われています。

▼監査計画
自社の規模や複雑性などを考慮し、監査業務の範囲や重点監査項目などの方向性を定め、どの拠点・部門に誰がいつ監査に行くかというスケジュールを策定します。

▼予備調査
本調査の1~2か月前に行います。監査対象の拠点・部門へ監査実施の通知をし、必要な書類やデータの準備、部門責任者の同席を依頼します。

▼本調査
実際に拠点・部門に赴き(往査という)、監査要点に関連する資料や現場視察などをもとに監査が行われます。

▼評価・報告
往査後、入手した証拠書類などに基づいて総合的な判断・評価を行います。結果は報告書としてまとめられ、経営層および監査対象の各拠点・部門へ報告されます。

▼フォローアップ
監査報告書で指摘した改善を要する事項などについて、往査拠点・部門に対し改善計画の立案や改善完了報告を指示し、業務改善が完了するまでフォローアップを行います。

やりがい

内部監査というと、以前は自社が法律やルールを遵守しているか、問題点がないかをチェックするという業務が中心でした。しかし近年では、業務改善の提案やアドバイスを行うという役割が重視されてきています。
自身の仕事の結果が経営の改善や事業の発展へとつながることは、内部監査の大きなやりがいだといえるでしょう。

大変さ・苦労

社内の問題点を見つけ、指摘する役割を担うため、どうしても「嫌われ役」を引き受けなければなりません。必要な資料をなかなか見せてくれなかったり、監査結果に対して反論されたりするなど、敵対的な態度を取られてしまう場合もあります。
特に若手の場合は、年上で経験もある社員に対し問題点を指摘しなければならないこともあるため、「やりづらいな」と思う場面が多いかもしれません。

キャリアパス

内部監査を行うためには、必ずしも特別な資格は必要ありません。しかし、内部監査は企業全体を見渡す必要があると同時に、会社法や労働関連法などの法律知識や、経理や財務などの専門知識も求められます。
そのため、ある程度ビジネスの現場で経験を積んで会社のことをよく理解している人、経理や法務、総務部門などでキャリアを積んだ人などといった、中堅〜ベテラン社員が内部監査部門へ配置されることが多いようです。

企業によっては、内部監査部門への配属を、上級管理職や役員への登竜門と位置づけていることもあります。また、内部監査の経験は転職時にも有利になることが多く、企業の内部監査部門を経て、監査法人や会計事務所、コンサルティング会社などへ転職し、キャリアを築いていくことも可能です。

 

内部監査の仕事に就くには?

自社に内部監査部門がない場合は、まず内部監査部門のある企業へ転職する必要があります。しかし未経験者の場合、いきなり内部監査人として採用されるケースはほぼないと思ってよいでしょう。自社に内部監査部門がある場合もその点は同じで、上述のとおり相応の経験や知見が必要となることから、希望したからといって簡単に異動できるものではありません。

そのため、経理や総務部門で経験を積みながら、内部監査部門へ移るチャンスを狙うことになります。「公認内部監査人(CIA)」「公認会計士」などの難関資格にチャレンジし、意欲をアピールするのもよいでしょう。

また、企業によっては応援監査の制度がある場合があります。これは、内部監査部門の人手不足を補うため、また将来内部監査に携わる人材の育成などのために、経理や総務部門の若手〜中堅社員に監査の一部を担当してもらうものです。
この制度がある場合は、積極的に手を挙げるべきです。熱意や仕事ぶりが認められれば、内部監査部門へ登用される可能性はぐんと高くなります。

 

まとめ:目立たないが、やりがいと将来性は大!

内部監査の仕事は地道で目立たないものですが、近年、非常に重要視されている業務です。内部監査には問題点の指摘だけでなく、業務改善のアドバイスなどコンサルティング的な役割も求められるようになっています。

自分の仕事によって会社がよくなっていくというやりがいは、他の業務ではなかなか得られないものです。狭き門ではありますが、内部監査人として経験を積む機会を得られれば、その後のキャリア展望は大きく開けます。チャレンジする価値は大いにあるといえるでしょう。

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